最近はジョブ型、メンバーシップ型といった雇用方法の違いや、職務等級制度、役割等級制度、職能資格制度の違いや良し悪しについてさまざまな論調が見受けられます。
どのような人事評価制度でもメリット、デメリットがあるので、どの制度が良いとか悪いとかということはないと私は考えています。
メンバーシップ型雇用が日本的で遅れているとか、職能資格制度が現在はまったく影響力がなく批判が聞こえてくるばかり、などと言うコンサルタントもいるようですが短絡的だなと思います。

どのような人事評価制度も完璧なものはありませんし、その運用方法を間違えると、不具合がおこるのはどれも同じです。

メルカリが10月、自社の男女間の賃金格差を独自に分析し、公表しました。
詳しく分析した結果、7%の「説明できない格差」があることを発見。実際に報酬を調整して格差を縮める是正措置をとりました。
評価や昇給率に差がないかを個別に見ても、差はありませんでした。理由が分からないと対策ができません。
そこで外部監査を依頼しました。重回帰分析という手法を使い、同じ役割、等級、職種で男女間に格差が生じていないかを調べました。
その結果、役職や職種の違いなど客観的な理由からは「説明できない」男女格差があることがわかったのです。
採用時に、前職の給与を参考にして報酬を決めていたため、そこにあった男女格差が反映していました。
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メルカリの挑戦 男女の賃金に「説明できない」格差 あぶりだした
品川瑶子・メルカリ評価報酬制度企画担当
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20231208/pol/00m/010/011000c

(出所:毎日新聞Web版 2023/12/11)

とのことです。
「採用時に前職の給与を参考にして報酬を決めていた」とありますが、人事評価制度のない中小零細企業の社長がまさにそうしていると言ってもいいやり方です。
メルカリさまといえば1on1の取り組みが有名のようですので、人事評価についても何かしらの仕組みや制度をお持ちなのだろうと思いますが、そうした優秀な企業様でもこうしたことがおこるのだなぁと思いました。

当社が支援してきた企業様には、採用時の格付けや、賃金の決め方についてもレクチャーしています。
特に中小企業の場合はほとんど中途採用者が多いですから、何等級に(仮)格付けするのか、そのポイントとコツや留意点。それによって賃金はどこにつけるのか、といった運用方法についてもコンサルティングを進める上での議題として取り上げます。

採用時の面接において「前の会社ではいくらもらっていたの?」といった話題は当然出てくるだろうと思いますが会社が違うわけですから、等級制度や賃金制度があればそのルールから逸脱して前職の給与水準(水準が高かろうと低かろうと)に寄せるわけにはいきません。

結局どのような人事評価制度であろうと、細かい運用ルールの不備や不徹底で不具合がおこってくるものです。

それにしてもメルカリ様のようにこうした調査を自主的に行って公表し、是正していくといった取り組みはなかなかできることではないですよね。大変立派なことだと思います。

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