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「安定×成長」が若手採用の決め手――中小企業が今すぐ変えるべき人事戦略

学校法人「産業能率大学総合研究所」が2025年度入社の新入社員を対象に実施した調査で、年功序列型の人事制度を望む声が56.3%と、成果主義を上回ったとのことです。

出所:20250715_2025年度 新入社員の会社生活調査 PICKUP DATA vol.1(第36回)
https://www.hj.sanno.ac.jp/research-report/assets/files/new-employee-survey2025-01/2025_Company-life-survey_01.pdf

新入社員の価値観が近年になって変化しているようですね。この調査では、年功序列を望む層が56.3%で過半を占め、加えて終身雇用を望む声も約7割とのことです。
就職先選びで重視するのは「福利厚生」「業種」「給与水準」がベスト3とのこと。特に「福利厚生」や「給与水準」が増加している一方で、「職務内容」や「企業風土」、「職種」が減少傾向だったとのことです。
一方で、働く環境としては「そこそこ大変だが成長を実感できる」が最多だと言います。つまり、今どきの若手は「長く安心して働ける会社で、着実に成長したい」と考えているように見受けられます。

●中小企業の人材採用と定着の勝ち筋
大企業は給与や福利厚生、教育投資で中小企業よりも優位です。また「福利厚生」「給与水準」といった安定性を重視するこれらの新入社員は、入社前から「ちゃんと教えてくれるのか?」といった期待にも敏感だということですが、中小企業では「見て覚えろ」「わからなかったら自分から聞け」と放置していたり、そうでなくとも「OJT」が中心だというところも多いでしょう。
大企業と比較してこれらのリソース不足に悩む中小企業はどうしたらよいでしょうか?

調査によると、新入社員の最大の不安は“自分の能力でやっていけるか(71.3%)”、上司に「手順を細かく教えてほしい(66.7%)」という期待が強いとされています。
ここに中小企業にもできる勝ち筋があるのではないでしょうか。

【成功のカギは「安定×成長」を“体感”させる制度設計】
1.EVP:Employee Value Proposition(従業員価値提案)の再設計
入社したばかりの若手が実感しやすい厚めの手当(住宅・通勤・昼食)や、ちょっとした福利厚生を用意し、「長く務めて安心」というメッセージを形にします。

2.対面重視の採用体験を取り入れる
オンラインも当たり前になってきた昨今ですが、対面面接重視によって現場体験ツアーや先輩座談会などの機会を柔軟に取り入れることが中小企業の武器になるのではないでしょうか。模擬OJTで“教え方のうまさ”を見せれば、「ここならやっていける」と安心させることができるでしょう。

3.ハイブリッド評価と3レーンキャリア
ベースになるものとして年功的処遇を取り入れることも一つの方法です。上乗せはスキル・能力・役割の等級と成果に対する処遇。キャリアは従来のダブルラダー”管理職/専門職”に加えてワークライフバランス重視の3レーンを用意し、昇格/昇給条件を透明化。
「将来のキャリアプラン/報われる道筋」が見えると、安心して頑張れます。

4.働き方の最適化でワークライフバランスを実現
“やめる仕事”を決め、DX化/自動化を進めます。残業は短時間がトレンドです。特に一般階層・スタッフ層の標準作業を最適化して、WLBを現場で実現させることが定着率の押し上げにつながるでしょう。

5.90日オンボーディング+教え方の標準化
週次ゴールの設定。マニュアルや標準作業手順書を用意。メンターとの15分1on1。称賛ファーストの対応。・・・こうした教え方の標準化が「この会社はちゃんと教えてくれる」という印象を初週から体感させ、不安を取り除くことにつながります。

●まとめ
若手の志向は「安定」だけでなく、「ほどよいチャレンジでの成長」です。中小企業の限られたリソースでも、わかりやすい制度整備、親身で距離感の近いOJT/教え方の上手さといったところに、中小企業の勝ち筋を見出すことができるでしょう。
応募者、新入社員に「安定×成長」を体感させる設計に切り替え、採用も定着も同時に強くしていきましょう。