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働き方改革は労務問題ととらえない

先日の日経MJに次のような記事がありました。

「働き方改革 中間管理職しわ寄せ!?」 ・中間管理職の6割が働き方改革によって自分の業務負担が増えたと考えていることが、パーソル総合研究所の調査でわかった。残業規制の導入で部下の仕事時間を減らす分、 上司にしわ寄せがきている。 ・回答者を「自社の働き方改革が進んでいる」と感じている群と感じていない群に分けたところ、働き方改革が進んでいる群のうち62.1%が「管理職の業務量が増えた」と答えた。 進んでいない群は48.2%だった。 (出所:2020/2/3 日経MJ)

とのことです。

残業時間抑制が目的になり、そのしわ寄せが中間管理職にきているのではとのことですね。 管理職層になると残業対象外として残業と言う概念がなくなりますので(名ばかり管理職は別として)足りない業務時間をカバーするのは管理職ということもあり得なくなさそうです。 もっとも残業と言う概念はなくとも労働時間の把握はしなくてはならないので、しわ寄せを持って行くにも限界があります。

一方で同紙面の記事には、 ”マイナビが実施した人材ニーズ調査によると2019年に人員確保のために基本給をあげた企業の割合は5割を超えた。雇用形態別では派遣社員の基本給をあげた企業が前年比17.5ポイント増の51.4%に なったのが目立つ”

とのこと。

人材、人員不足で給与の基本単価が上昇する一方で、働く時間は減らさなくてはならないという企業にとっては難しいかじ取りを迫られています。

心配になってくるのはこれらの対応が、すべて内向き志向の業務改善となって本来の企業業績の向上を阻害したり、ライバル企業、海外企業との競争力低下になってほしくないなあということです。

同紙面のアンケートの続きでは、管理職に業務上の課題を聞いたところ多かった回答は、 ”「人手不足(57.5%)」「後任者の不在(56.2%)」「自分の業務量の増加(52.5%)」”

一方で企業の人事部に聞いた、管理職が抱えている課題を聞くと、 ”「働き方改革への対応増加(52.0%)」「ハラスメントの対応増加(42.7%)」「コンプライアンスの対応増加(38.7%)」”が上位を占めたとのこと。

これらの回答はすべて企業の、自社の内部の事柄に対する課題であって、自社の外に向けた、外向き志向の課題に対する話題がまったく出てこないように感じます。

もちろんどれも大切な課題であるのは当然なのですが、上記の課題を解決すると、企業の競争力が上がって業績が上がる、といったことにつながれば良いのですが、必ずしも課題対応策がそうなっていないことの方が多いのではないでしょうか。

業務プロセスの見直しや抜本的な業務改善、そして戦略の思い切った転換などで、企業競争力の向上、業績のアップを目的としてそれを実現した結果、、、気が付いたら一人当たりの生産性が高まっていた、と言う風になるのが理想だと思うのです。

働き方改革というワードが独り歩きするので「単なる労務問題」のように思えてよくないのかもしれませんが、これは労務問題ではなく、あくまでも企業の競争力・業績の向上が目的であり、その抜本策の結果、生産性も向上する、となっているような、外向き志向で課題解決を考えたいものです。