組織人事に関するご相談を受けると、たいてい経営者の意識は従業員の能力開発、特に管理職層とその次の世代の育成。そして一般社員の実力底上げの話を一生懸命に語られることが多いなと感じます。
そこで、会社の戦略や現在の人事システムについていろいろとインタビューしていくと、社長の頭の中には戦略らしきものがあり、自分の行きたい方向性はあるのですが、従業員に浸透していない。
また、育成・能力開発に関心はあるのですが具体策がとられておらず、それどころか評価や報酬の仕組みがない。
あるいは評価や報酬制度はとりあえずあるのですが、運用がちゃんとなされていないといったケースが多いようです。
特定の企業や業種ということではなく、中小企業は多かれ少なかれ同じような悩みを抱えているのかもしれません。
評価や報酬のないところで、育成の話をしても無理がありますし、そもそも会社のビジョンや目標を達成するために行動する動機付けがなければ、社長の戦略は実行されない空論のまま。
組織という複数の人間が集まるところで、全員の意識を一定の方向へ向けさせ、組織の共通目標を達成するために、皆が貢献意識を持って行動する。
そのためには、以前にも書きましたが、ソフトとハード両面の整備が必要です。
制度、評価ありき、報酬ありきということではありません。
経営者の考えや意図を具現化したものが、「制度やしくみ」であり、それらをうまく回していくのがマネジメント。
どの制度も地道に整備していかなくてはなりません。