政府のジョブ型人事指針が公表されましたね。
まずは、「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太方針2023)」につづき2024年6月閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針2024)」において政府が示した三位一体の労働市場改革というのが公表されており、概要は以下の3つでした。
1.リ・スキリングによる能力向上支援
2.個々の企業の実態に応じたジョブ型人事(職務給)の導入
3.成長分野への労働移動の円滑化
この中で「2.個々の企業の実態に応じたジョブ型人事(職務給)の導入」というのが掲げられていますが、これについては先日2024年8月28日に「ジョブ型人事指針」が公表されました。
有名大企業など20社の事例集といった内容のようです。
この9月上旬には、岸田首相やこれらのジョブ型人事を導入した企業15社の代表が出席する会議を開催するとのことです。
内閣官房「新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html
ジョブ型人事指針
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html#jobgatajinji_head
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/jobgatajinji.pdf
ジョブ型人事指針で公表された事例も、まだ全部目を通していないのですが特に「米国型の雇用形態のそれ」という制度になっているわけではないようです。
”年功序列の払拭”、”若手高度専門職人材の処遇向上”、”飛び級管理職登用”、”同一労賃”といった課題に対して「ジョブ型人事」を利用しているように感じます。
中小企業が導入しようとすると、やはり”ポスト不足””下方硬直性の排除”が課題となりそうですね。
政府が言う「成長分野への労働移動の円滑化」も、持続的で構造的な賃上げの実現のために、ということでしょうけれど、はたして従来の「雇用の維持」から「労働力の移動」へと方針転換できるのでしょうか?
成長分野といってもみんながそちらに行けるわけではないので、転職できない人たちや成長分野から取り残されていく中小企業は、それぞれの生き残り戦略を考えなくてはなりません。
ジョブ型人事(と言われている制度)は当然ですが企業によってはなじまない場合もあるので、人材を定着させたい企業にとっては、何でも政府の言うとおりにすればよいかというとそうではありません。
成果主義~人基準/実力主義~ジョブ型などとトレンドに合わせてころころと変えていくのが好きな大企業もあるようですが、中小企業はこうした流れに踊らされず、まさに「個々の企業の実態」に応じて、”ジョブ基準”なのか”人基準/実力主義”なのか、雇用・評価・処遇のスタイルを検討しなくてはならないでしょう。
Nasim NadjafiによるPixabayからの画像