経営改善のコンサルティングをしていていると、DD(原因分析)フェーズと、改善の施策・計画立案フェーズと順番を踏んでいくことになりますが、特に難しいのが改善の施策の立案だと、最近特に感じています。

よく、コンサルティングや問題解決には論理的思考法が大切と言われるのですが、これは訓練である程度鍛えられるのではないかと思います。
ところで論理的思考法というと、なぜなぜ分析のようなものを思い浮かべますが、時々「なぜ?って何回繰り返したらええの?」と質問を受けることがあります。「T社では5回だ!」と言っても良いのかもしれませんが、そうそううまく5回で真因に行きあたることもなく、そもそも5回も深堀できなかったりなど(^_^;)

そこで「真因と思われる良い感じの塩梅のところまで掘り下げるのだ」と答えてしまうのですが、じゃあ一番深堀したボトムの原因に手を打てば良いかと言うと、そうでもないのでは?とも思います。深いところに手を打たなければならないけれど、浅いところでの打ち手も必要なのでは?というのが次の図です。

また、DDにおける問題点や論点の抽出・特定については、論理的思考法が有効だと思うのですが、課題解決策を考えるにあたっては、論理的思考法で考えると、あたりまえ、、、というか、だれでも同じような結論にたどり着いてしまいがちです。問題点を指摘して、解決策を提案したところ、社長だってそれくらい自分でも最初からわかっているけど、なかなかできないんだよ、みたいなものになりがちなのではないでしょうか。
例えば次のようなロジックツリーですが、だれが作っても多少の違いがあれど、結構似たようなものになるのではないかと思います。

ちなみに、話は少し脱線しますが、実はロジックツリーって、主題を置いて、上から分解・深堀するって、難しいんですよね。。。机上の座学で習うと、上から分解して作っていって、下からもロジックが合うか検証する、、、みたいな教えられ方をすることがあり、これがロジックツリーを難しくしているというか、使えないな~と思う理由があるとするとこの辺ではないかなと思います。
昔、流通系のコンサルティング会社にいたときに、「観察→分析→判断」と口酸っぱく言われたのですが、我々現場の人間は、現場の観察による事実の積み重ねから、分析して、判断することが多いと思います。つまり実際の現場では、前述のロジックツリーのボトムから上に向かって考えていることが多いというか、それが自然ではないかなと思います。

しかしそれだけだと、ロジックツリーとしては、もれなく、ダブりがないのかわからないんですよね。上から分解してフレームワークをつくる方が、もれなく、ダブりがないかを検証しやすくなります。そこで、下からの積み上げに加えて、上からの分解、深堀のロジックを組み合わせて、突き合せ検証してみるという、「下から+上からを繰り返す」というアプローチが必要なのかなと思います。
製造業の分析には詳しくないので合ってるかどうかわかりませんが、FTA:Fault Tree AnalysisのトップダウンとFMEA:Failure Mode and Effect Analysisのボトムアップみたいな関係かもしれません。

さて、お話戻って、、、物事を分析する際には、経験則を当てはめてしまわないようにロジカルシンキングするのですが、解決策を考えるときってロジカルにやろうとすると、自然と経験則をあてはめていないだろうか?と思うんですよね。

そこで解決策を考える際には、まったくゼロベースで、クリエイティブな発想力が必要だなぁなどと最近よく考えるわけです。

単に販管費削減を検討する、といった改善策においても、ゼロベースで考えていかないと発想が出てこないこともよくあります。たとえばスーパーのような小売業においてはPOSシステムを導入していることがあたりまえの前提のようですが、システムの使用料というのがあって、それが過大で負担であった場合、本当にPOSって必要なのか?(例えば1店舗しかないのに、、、)やめちゃえば?といった、前提を破壊してゼロベースで物事を考えることも必要だなと思うわけです。

また、新規開拓営業が苦手な企業に対して、「専属部隊をつくって新規営業に取り組みましょう」といったような提案だけではなくて、「新規開拓が楽しくなって営業マンが自ら取り組みたくなるような提案」をしたいんですね。

そのために、前提を破壊してゼロベースで、創造的な発想を!といつも思うのですが、これがなかなか難しい。。。ゼロベースはともかく、創造的な発想がなかなか出てこないんですね。

小売業の現場でも、新しい売場、新しい売り方を考えてもらったことがありますが、少々くだらない、ふざけている、バカバカしいといった案の中にも、おっ!と思うようなものが出てくることがあります。創造的な発想って、なかなか訓練で身につくようなものではないかもしれませんが、日々コンサルティングの問題解決を考える中で意識していきたいなと考えています。

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