人事考課について、何を評価の軸とするのかを検討する機会があります。
最近は中小企業においても、目標管理制度を導入しているところが多くなり、一つ目は業績評価、つまり成果、結果的なものを問われることはどこでも行うようになってきています。
二つ目は、いわゆる情意評価とよばれるもの。態度といったり、ビジネスマナーだったり、行動だったり、ようはわが社の社員としてあるべき態度や心構えを問うものです。これも重要度はともかく、大体の経営者はご納得いただけるようです。
三つ目には能力的なものがあげられるでしょうか。最近では職能資格制度によく見られる評価項目ではあいまいであるとか、コンピテンシーだとか、いろいろな考え方があるようです。なかにはスキルの評価を重要視している企業もあるようです。
スキルというと、能力(最近では発揮された能力)評価のうち、知識や技能の項目に相当するものであるとも考えられます。
最近ではIT関連など専門職や技術系の従業員も多く、スキルを評価したいという企業の考え方もわかりますが、細かいスキルの評価って難しいですね。その等級に必要なスキルは仕事をする上で必要となるもので、「ある」か「ないか」のチェックで済む場合もあるでしょう。一方でデザイナーのような職種であれば、センス的なものまで問われるのかも知れませんが、センスを評価するというのは、好き嫌いもありますし大変難しい。
また、コンピテンシーという評価もありますが、昇進や管理職登用のためのアセスメントはともかく、これをもって人事考課として、賃金改定などを行うのも難しい面もあるようです。
だいたい結論はその企業によって議論を重ねた上で決定していくことになりますが、どのような評価軸を採用しても、一番大事なのは制度運用ではないかと思っています。
評価項目が曖昧ならできるだけ具体的に記載すればよいですし、評価を重ねる度に考課者全員で事例や判断例を討議し、評価のレベル合わせ、共通認識合わせを行っていけば徐々に精度は上がっていくのではないかと思っています。
基本となる制度はあまり複雑、細かくしないでシンプルにわかりやすく。
いろいろな専門家の流儀はあるかもしれませんが、わが社に合った評価軸、評価項目を選択し、運用していく中で精度を上げていく。
そして評価後のミーティングを疎かにしないで事例を蓄積していくことをおすすめしています。